原子核で起こる壊変に関する値であり
ある時期に物質に含まれる同位体の量をf(t)とすると(t>0)
f(T+t)=f(t)/2が常に成り立ち、このTのことを「半減期」と呼びます。
これは同位体の量が指数関数的に変化することを示す言葉です。
私が「生物学的半減期」という言葉を初めて聞いたのは
たぶん3.11以降のことだと思いますが
生物における反応なのに
指数関数になるのだろうかと疑問に思いました。
調べてみると、ヨウ素の生物学的半減期は
甲状腺とそれ以外では10倍の差があるようです。
そこで、透過度k1,k2の半透膜袋(臓器に相当)を
水槽(血液に相当)に入れたとして挙動を計算してみました。
「コンパートメントモデル」と呼ばれるものっぽいです。
肝臓や腎臓で処理され血液内から消えてく速さがk3。
膜から出ていくのも入ってくるのも同じ速さとしました(濃度差に比例)。
f1(t)とf2(t)が臓器に含まれる物質の量
g(t)が血液に含まれる物質の量です。
血液から物質が入るのが普通と考えられるので
f1(t)=f2(t)=0,g(t)=1としました。
式は下図に入れておきました。
本当は3番目の式に体積を考慮した変数を入れないといけないのだけれど
今は「指数関数になるか」を確かめるだけなので
臓器1と2、血液の体積は全て同じものとしています。
数値は適当に決めたものです。時刻も秒とは限りません。
ただ半減期が10倍違う臓器を設定しているモデルだということです。
また物理的半減期を考慮していないので、放射性元素の挙動ではありません。
水槽の中の物質は濃度に比例した分、徐々に減っていきます。
もし「半減期」の名前どおり指数関数になるとしたのが水色。
t=0の近傍ではy=exp{-(k1+k2+k3)t}が漸近線らしい。
グラフの縦軸を対数にしたのが、次のグラフ
黄色は水色と一致していないのですから
この場合「半減期」という考え方は幻想だと言えます。
でも2番目の対数グラフで、黄色はほぼ直線に近づいていますから
「ほぼ指数関数」と言えないことはないかもしれません。
しかし「きれいに」なのか「ほぼ」なのかは大事な違いです。
下手をすると黄色の線を水色の線のように過小評価されてしまうのですから。
各臓器の半減期に差が無ければ、最終的には指数関数に近づきます。
なので物質によっては良い結果を得られるのでしょうが…。
物理的半減期と違って「どこから半分になる時間なのか」が大事なようです。
そして「どこまで、その半減期を使っても支障がないか」の注意も必要。
ていうか、こんな簡単なことに誰も気付かないとしたら問題ですよね?
皆さんはこの辺りまで「生物的半減期」の考察をしましたか?
私が何か間違っているのだったら教えて欲しいです。
そして、できれば、誰かに微分方程式を解いてほしいです。
【注】上に「ヨウ素」と書きましたが
放射性ヨウ素の物理的半減期は約8日であり
仮に生物学的半減期の考えが仮に間違いとしても
8日を越えることは無いと考えます。
問題とすべきは、
物理的半減期がもっと長い放射性元素が
特定の臓器に滞留する場合
生物学的半減期による計算によって
過小評価されてしまうのではないかということです。
【8/29追記】1か月以上経って
ようやく実測データを見つけました。
横軸も対数になっているのでちょっと違ってます。
こちらにあったものです。